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書籍「伝え方が9割」を読みました(感想/レビュー)

書籍「伝え方が9割」を読みました。この本はとても売れているようですね。
感想でも書いてみたいと思います。

その前に僕がこの本を読んでみることにしたエピソードを合わせてご紹介したいと思います。

 書籍「伝え方が9割」を読みました(感想/レビュー) 書籍「伝え方が9割」を読みました(感想/レビュー)

伝え方が9割 書籍「伝え方が9割」を読みました(感想/レビュー)

ある日、同僚二人と僕の三人で送別会的な飲み会をしていた時のことです。同僚の一人が去り行く僕の為に粋な方法で忠告をしてくれました。飲んで酔っ払って随分時間も経って、そろそろ帰る頃合の時間の出来事です。

「そろそろいい時間にもなってきたし。それぞれ改善したら良くなることを言い合おう。んじゃ、まずは俺に対して言ってくれ。はい。」と一緒に飲んでいたもう一人の同僚と僕に言うのです。

僕ともう一人の同僚は少し戸惑いましたが、彼に対する印象や改善点を話したと思います。次にもう一人の同僚に対して僕と彼が印象や改善点を話しました。この時点でこのゲームの素晴らしさに気がつくことになります。このゲームは近しい人が持つ客観的な印象を聞くことができるとても良いゲームなのです。そして、僕の番になった時、彼は僕に「もっとコミュニケーション能力を磨け、伝え方を変えるだけできっと良くなる」と言いました。もう一人の同僚も彼のその言葉に同意していました。

僕は心の中でそうだよなと思ったと同時にそんな簡単に変えられたら苦労しないとも思いました。だけど、彼の忠告は私が自覚していたことだし、何より的を得ている忠告でした。良くも悪くもまっすぐな性格なゆえに思ったことをそのまま口にする性格は自分の特徴であると考えています。だけど、これから自分のやりたい方向を目指すには変わっていかなければならない。

彼は僕にそのことを気づかせるもっとも良い方法として、このゲームを発案し、まずは自らその対象者となりこの場を作って見せて、最後に僕の順番が回るようにセットしたことが、あの日のことを思い出すと伺い知ることができます。

なんて粋な忠告の方法なのでしょうか。僕は変わってみたいと思うようになりました。

月日は流れ、そんな出来事を思い返しながらも言葉の使い方をもっと工夫したいと考えていた所に、書店でこの本を見つけて読んでみることにしたのです。

感動が人を動かすのだから、感動を与える言葉使いに気を遣おうというのが主となる内容です。

実は、伝え方は学べる。それを知っている人は少ない。

書かれている内容が難しいかといえば、そのような印象は受けずにむしろ内容として薄いんじゃないかと思ったぐらいです。しかし、なぜ話し言葉の時はあまり考えずに語ってしまうのだろうかと思いました。よくよく考えてみると文章を書いたりプレゼンテーション資料を作ったりする時は言葉を綿密に考えているはずです。言葉というのはその時々の相手やシチュエーションで会話のテンポやトーンでさえ一定を保つことなど不可能に近いです。そんな中、この本に書かれている内容を実践することは至難の業ともいえます。

ステップ1 自分の頭の中をそのままコトバにしない
ステップ2 相手の頭の中を想像する
ステップ3 相手のメリットと一致するお願いをつくる

だからこそ、この本に書かれているいくつかのメソッドは重要だと感じました。ノリで会話をする癖がついていますので、少し考えながら自分の言葉を相手に伝えることから始めようと思いました。

簡単なことではありませんが、人として成長できる一歩になれば良いと考えています。

 書籍「伝え方が9割」を読みました(感想/レビュー) 書籍「伝え方が9割」を読みました(感想/レビュー)

伝え方が9割 書籍「伝え方が9割」を読みました(感想/レビュー)

映画「思い出のマーニー」について考えてみた(感想/レビュー)

映画「思い出のマーニー」について考えてみた。

「思い出のマーニー」を観てから少し時間が経ちましたが、少しづつ考えも纏まってきたので感想でも書いてみます。

marnie 映画「思い出のマーニー」について考えてみた(感想/レビュー)

「思い出のマーニー」の米林監督は以前に「借りぐらしのアリエッティ」で監督を手がけた人物で、少女目線のファンタジーが得意な方なのかなという印象の監督です。宮崎監督が「風立ちぬ」で一つの区切りをつけて以降、スタジオジブリの新しい世代を担うクリエーターの一人という位置づけであるようです。「思い出のマーニー」公開前後で米林監督はメディアに登場して自身のキャラクターを露にすることも少なくありませんでした。

秋葉原界隈にはこういった大人は沢山いるような気もしますが、ピュアなまま大人になってしまったやさしい少年の姿を見るような米林監督。宮崎監督のような背筋に一本筋の通った大人の男といった印象はありません。

「思い出のマーニー」の原作はイギリス文学です。どこか「赤毛のアン」や「嵐が丘」といった作品と通じるものがある気もしますが、それが何なのか上手く説明できないのはもどかしいです。イギリス文学が持っている独特のエッセンスが「思い出のマーニー」の中には存在しています。

前半から中盤にかけては、何なんだこの作品はと思いながらその世界観に入っていくこはできずに、眠気さえも感じました。しかし、この物語は後半から急展開をみせます。とてもせつなく、とても心が温まる「思い出のマーニー」はスタジオジブリの新しい壁を打ち破った作品だと感じました。

■思い出のマーニーの宣伝方法

あなたのことが大好き。

この言葉が強調され、「会いたい」とか「会えない」とかそういった印象を植え付けるTVCMや広告。スタジオジブリは百合作品を作ったのか?という疑問までささやかれるほどでしたが、実際には百合作品ではないと思います。ただ、このセンセーショナルな言葉を使った意図を考えるとしたら、これまでのジブリ作品は少年少女をターゲットにしていたけれども女性をターゲットにマーケティングした戦略なのではないかと思います。事実、男性である僕は前半から中盤にかけての少女杏奈の心の移り変わりやマーニーとの依存関係についてはなかなか理解はできませんでした。

■少女杏奈の内面性

「思い出のマーニー」は少女杏奈の内面性を強く表に出した作品です。これまでのジブリ作品には主人公の内面を強く押し出すものはなかったと思います。物語全体でカタルシスを表現することがこれまでのジブリ作品ではなかったでしょうか。少女杏奈が持つ心の傷とその傷を癒すことができるマーニーの共依存関係がこの物語の核となっています。

■少女杏奈の成長と命のバトンタッチ

少女杏奈は心の傷と自らの運命をマーニーとの出会いの中で自己解決していきます。なぜ自分にはマーニーが必要なのか、マーニーとの出会いがもたらす意味を周辺人物との関係性との中から見出していきます。少女杏奈の内面的な苦悩は誰もが思春期に感じる葛藤というものだけではなく、その生い立ちに沿ったものであり、すべてが共感できるものではありませんでしたが、マーニーとの出会いの中でその苦悩は一つの解決方向へと導かれます。

マーニーとの出会いの物語は私たちが実生活で感じる友人との関係や親との関係、祖父母との関係性までも考えさせられる内容です。後半から畳み掛けるようにファンタジーが現実と結びついていく展開に驚きながらも、命の結びつきとバトンタッチに感動しました。

僕はこの作品を観終わった時に、ジブリはどえらい作品を世の中に出したなと思いました。子供が見てこの作品の本当の素晴らしさを知ることはできないでしょう。かつて少女だった今は母をしている女性に是非とも見て欲しい作品だと思いました。男の僕ではファンタジーで描かれた少女の心模様の本質は理解できないし、命をつなげていく母の気持ちの本質も捉えることは難しいと感じます。

また、「思い出のマーニー」は米林監督であるからこそ描けた作品であり、宮崎監督が手がけたならどこか男性的な見方の中から生まれたファンタジーになる気がします。これからも成長していく米林監督の作品に期待ですね。

「思い出のマーニー」はとても考えさせられる良い映画でした。

書籍「グロースハッカー」を読みました(感想/レビュー)

書籍「グロースハッカー」を読みました。感想でも書いてみたいと思います。

この本はグロースハッカーとはどんな仕事だろう。グロースハッカーとはどんな手法を用いているのだろう。そんな疑問が晴れる内容です。

 書籍「グロースハッカー」を読みました(感想/レビュー) 書籍「グロースハッカー」を読みました(感想/レビュー)

グロースハッカー 書籍「グロースハッカー」を読みました(感想/レビュー)

近年、グロースハッカーなる言葉を耳にするようになりましたが、グロースハッカーとは従来のマーケティング方法にとらわれずに新しいマインドセットでサービスを拡張することに責任を持った人だということです。また、従来のマーケターの領域を超える製品領域にもコミットメントして改善を促すのもグロースハッカーの仕事の一つです。

製品領域というと、つまりは製造過程にも踏み込んだ仕事の領域となり、従来のPRや広告といった仕事の領域からは随分と広がることになります。また、IT分野ではそれらはエンジニアの領域であることからエンジニア出身のグロースハッカーに注目が挙がっているというところでしょうか。非エンジニア出身のマーケターはエンジニアリングを学ぶ必要がありますし、エンジニアはマーケティングを学ぶ必要があるということです。

そもそも専門性の高い両分野であるからこそ、そう簡単にこれらの領域がシームレスになっていくとは考えづらいのですが、マインドセットとしてはどんな職種の方にも共通するこれからのビジネススキルだと感じます。

すべての人ではなく、ふさわしい人へ

クチコミは偶然には起きない。設計するものだ。

企業はサービスそのものの改善に投資する必要があるのだ。ユーザーがそのサービスから離れられなくなる(そして友達を誘う)まで改善しよう。

グロースハッカーは「プロダクト・マーケット・フィット(PMF)」をいかに近づけるかというのが最大の仕事であるといっています。サービスと顧客のニーズが完全にシンクロするまで改善を繰り返すということのようです。

この書籍の良いところは具体的な例を元にグロースハッカーの仕事内容の具体的な点にまで言及していることだと思います。マーケターの方、エンジニアの方、何かしらの製品開発をしている方に是非おすすめしたい書籍です。

 書籍「グロースハッカー」を読みました(感想/レビュー) 書籍「グロースハッカー」を読みました(感想/レビュー)

グロースハッカー 書籍「グロースハッカー」を読みました(感想/レビュー)

2014-09-07 | 音楽・DTM・楽器

Lisa Loeb(リサ・ローブ)のライブを観てきました(感想/レビュー)

Lisa Loeb(リサ・ローブ)のライブを観てきました。感想でも書いてみたいと思います。

ビルボードライブ東京」で行われた2014年8月30日(土)18:00 1stステージの公演です。

billboard live Lisa Loeb(リサ・ローブ)のライブを観てきました(感想/レビュー)

Lisa Loeb(リサ・ローブ)のライブは2008年の公演以来の参加でとても楽しみでした。六本木の東京ミッドタウン内にあるビルボードライブ東京は何かと作法がわからない。当日、チケットぴあで買ったチケットを受付で渡すと座席の順番がその時に決まるようです。どうやら、ビルボードライブ東京で直接購入しなかったチケットはチケットを購入してから予め電話で知らせておくと座席の順番が前の方になるとのこと。

受付を済まして1Fのテーブル席右後方に座る。周囲はカップルや友人同士で来ている人が多かったです。基本的に食事を楽しみながらライブを観るという場所なだけにレストランに負けないメニューの豊富さです。僕はビールとおつまみにフィッシュアンドチップスを注文しましたが、一人では食べきれないので残してしまいました。時間帯的にも本気で食べるには早すぎる時間だったし、金額的にも高いので大人の贅沢空間そのものです。

billboard live2 Lisa Loeb(リサ・ローブ)のライブを観てきました(感想/レビュー)

少しほろ酔いになってきた頃にLisa Loeb(リサ・ローブ)が登場しました。黒いドレスにブーツ姿でとてもキュートです。そして、いつものギターであるTaylorのCutawayを持って演奏が開始。とても優雅で心温まるステージでした。

どうやら、この来日直前に放送されたフジテレビのドラマ「若者たち2014」の中で、長澤まさみが「STAY」を弾き語りするシーンがあったようです。そのシーンがネット上で話題となり、リサローブの「STAY」弾き語りバージョンがiTunesヒットチャートで、ロック部門2位、総合14位とチャートの上位にクレジットされるという現象もありました。

それにしてもリサローブ、46歳。二児の母親とは思えない若さです。体型もバッチリキープしています。ただ、少し気になったのは声の伸びですかね。前半、ハスキーさが増していて高音が出難いようだったので、調子が悪いのかなと思いました。後半はそれほど気にはならなくなりましたが、やはり高音の伸びは良くないように感じました。バンドサウンドも良いけれども、やっぱりリサローブは弾き語りが好きです。ギター一本で素晴らしい歌と曲を世界の人に聴かせて欲しいと思います。1stステージは約1時間程で終了し、ステージ後方の暗幕が開くと窓から見える景色が美しい夜景にかわっていました。

billboard live3 Lisa Loeb(リサ・ローブ)のライブを観てきました(感想/レビュー)

そして、今回の目玉はこれですね。以前にこのポスターに本人のサインが書かれてある画像をみたことがあったので、ポスターを買うことにしました。そして店員にこのポスターにリサのサインを書いて貰うことはできないか。と訊ねました。そしたら、快諾してくれて、後日取りに来てくださいとのことでした。2stステージ終了後にはグッツ購入者にサイン会をしてくれたらしいので、羨ましい限りです。僕は2005年のツアーの時にサイン会に参加することができましたが、それ以降はなかなか機会に恵まれずです。

もうこれは額に入れて部屋に飾ること間違いなしですね。
Tank You! Lisa,It’s Treasure.

 Lisa Loeb(リサ・ローブ)のライブを観てきました(感想/レビュー) Lisa Loeb(リサ・ローブ)のライブを観てきました(感想/レビュー)

ヴェリー・ベスト・オブ・リサ・ローブ Lisa Loeb(リサ・ローブ)のライブを観てきました(感想/レビュー)

書籍「広告やメディアで人を動かそうとするのは、もうあきらめなさい。」を読みました(感想/レビュー)

書籍「広告やメディアで人を動かそうとするのは、もうあきらめなさい。」を読みました。感想でも書いてみたいと思います。

広報(PR)と広告の違いも今一理解していない僕ですが、マーケティングは興味分野であり、グロースハック的な視点を強化する為にも広告について学んでおく必要があると思いました。

 書籍「広告やメディアで人を動かそうとするのは、もうあきらめなさい。」を読みました(感想/レビュー) 書籍「広告やメディアで人を動かそうとするのは、もうあきらめなさい。」を読みました(感想/レビュー)

広告やメディアで人を動かそうとするのは、もうあきらめなさい。 書籍「広告やメディアで人を動かそうとするのは、もうあきらめなさい。」を読みました(感想/レビュー)

サービスを広く知ってもらい、使ってもらうことが、Webサービスに携わる者の重要な活動の一つと言えます。近年はグロースハッカーなる職種も現れてきて、エンジニア経験者がKPIにコミットメントするような時代になってきています。

統計情報を駆使してKPIを組み立てて、UI/UXデザインの提案をし、技術開発の優先順位も戦略的に立案できるような人材がサービスを牽引していく。そして、口コミによるバイラル方法を考え、時には効果的な広告に投資をしてサービスの認知度を上げていく。そんなスーパーマンのようなグロースハッカーに近づくには、どれだけの経験が必要なのでしょう。

近年では随分、テレビを見る機会が減ってしまい、手のひらの中のスマホの世界にどっぷりと時間を費やす日常になってしまいました。我々は技術革新と共に生活様式が変化するという事実があります。それは決して無視ができない事実なのかもしれません。

この書籍はWebサービスに関することに限定した話ではなく、一般的な事例を踏まえて広告効果の”今”について書かれています。広告がリーチする対象とその効果を知ることで適切な広告方法を適切に使用しましょう。ということだと考えられます。

マスメディアやソーシャルメディアはあくまで「媒体」。広告、PR、プロモーションなんかもあくまで「手法」。これらはすべて単独では「技」であって、その組み合わせで初めて「芸」になる。これについてほとんど異論はないだろう。しかしここで重要かつ、なかなか答えが難しいのは、「ではどうやってその最適な組み合わせを見つけるの?」ってことだ。パート1で田端氏は、この技の組み合わせを「ゴルフクラブ」にたとえた。

この書籍でとてもわかりやすかった部分の一つが、広告手法をゴルフクラブにたとえて解説していたことです。広告分野についてまったくの素人の僕でも新しい理解がありました。

リーチしたいコミュニケーション主体の人数規模に対して適切な広告手法を使い分ける必要があるということを解説しています。

広告ってどういうことなの?っていう方から、製品やサービスを人に知って貰いたいという方まで、基礎的な概念を構築するのに役に立つ書籍だと思いました。

 書籍「広告やメディアで人を動かそうとするのは、もうあきらめなさい。」を読みました(感想/レビュー) 書籍「広告やメディアで人を動かそうとするのは、もうあきらめなさい。」を読みました(感想/レビュー)

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映画「風立ちぬ」を観てきました(感想/レビュー)

先日、映画「風立ちぬ」を観てきました。
感想でも書いてみたいと思います。

kazetachinu 映画「風立ちぬ」を観てきました(感想/レビュー)

宮崎アニメは好きなので映画になっている作品は過去のものも一通りは観ています。

今回、宮崎駿が大人に向かって正面から描いた作品だということに大変、興味を持ちました。

僕は宮崎アニメが持つ魅力の一つにストーリーの神秘性と処女性があると思っているのだけれども、「風立ちぬ」は実在する人物と時代背景が重なって神秘性と処女性から何歩も進んで具体性へと突入したように思います。

具体性といっても宮崎駿が持つ独特の感性のベールに包まれたこのアニメ映画は非日常としてのアニメではなく日常の延長線上に落とされた宮崎駿が説く命題のような気がしてなりません。

「風立ちぬ」を観る前に予習をしたい人は以下のサイトで簡単に予習しておくのも良かもしれません。

スタジオジブリ最新作『風立ちぬ』を観る前に知っておきたい5つのポイント

上記サイトにもあるように、「風立ちぬ」の時代背景は大正から昭和に移行する時代です。関東大震災、長引く経済不況、軍国主義化といった時代背景のもとに描かれた物語です。震災や長引く経済不況、近隣諸国との領土問題などを抱えた現在の日本の状況とも近しい状況下であることが、この物語を観るうえで感慨深いものになっています。

宮崎アニメ全体を語ることも「風立ちぬ」の詳細を語ることも技量として足りませんので、「風立ちぬ」が描くエリート像、仕事像、恋愛像の三つに絞り感想を書いてみたいと思います。

■「風立ちぬ」が描くエリート像について

物語の冒頭から主人公である堀越二郎は良家に育ちエリートで万能で男気のある人間であるということを我々に印象付ける描写が続きます。堀越二郎の少年時代を物語るシーンの一つにいじめられている少年を悪ガキから開放するシーンがあったり、空や飛行機に思いを馳せる空想シーンがあったりと、強くたくましく正義感のある頭の良い少年像が描かれています。

また、青年になった堀越二郎は列車の中で関東大震災にあい、そこで出会った菜穂子たちを助ける姿は勇猛果敢で冷静で教養に満ちた青年であることが伺えます。その後は東京帝国大学に通っていることが解るシーンがあり、エリートであることが決定的に印象付けられます。

この映画を観た人の中にはエリートである堀越二郎が次々にエリートであるが故の階段を上り、成功を繰り返しながら欲求を自己実現していくシナリオに違和感を感じた人も少なくないでしょう。

僕自身はエリートという名の階段といいますか、レールというのはあってしかるべきだと思っていますし、そういった人を直接見た経験もあります。特に時代背景を考えるとエリート育成は必然であり、政治や産業を生み出す者と労働者との間には大きな隔たりがあったに違いないと想像できます。

ただ、エリートが持つ気概というか気質に関わる印象についてはこのアニメ映画が描くエリート像からは僕の想像力を超えて違和感を覚えてしまうのです。「コクリコ坂」にも登場する学生像にも感じましたが、エリートという言葉の中に勇猛果敢で男気のある強い男性像というのは、これまで持ったことがなく、これまで、そういった人物には会ったことがありません。

勝手な印象になってしまいますが、エリートといえば勉強はできるけれども運動能力が劣っていたり、コミュニケーションに偏りがあったりする人物像を思い浮かべてしまうと同時に正義感をもって間違ったことを正す人とは違う人物像を持っていました。僕たち世代はまるで悪の象徴にも似た印象を持たされて育った世代のように思います。80年代から90年代にかけてのテレビ番組やドラマに描かれているエリート像がそういった印象を持つきっかけになった可能性はあります。

しかし、エリートというのは教育によって人が人を作り上げるものです。人の上に立つ人間は人として立派な人間である必要があるのだと思います。「風立ちぬ」が描くエリート像、堀越二郎のような青年が現代のエリートにもその像として皆が当てはめることができたら、幸せで未来のある日本の将来が
期待できるのかもしれません。

大正から昭和の時代背景を詳しく知っているわけではないので、当時のエリートの気概や教養については想像の域をでませんが、僕たちが持つエリート像と「風立ちぬ」が描くエリート像が乖離しているのであれば、その根本原因は何か今一度考えるに値するのではないでしょうか。

■「風立ちぬ」が描く仕事像について

このアニメ映画の一つの見どころは堀越二郎が仕事に没頭しながら自己実現をしてゆく姿でしょう。昨今ではワークライフ・バランスといった言葉で自分の人生と仕事との関係性を自分自身の意志でコントロールしようとしています。

堀越二郎は子供の頃から「やりたいこと」と「やれること」と仕事上の夢が一本の線で結ばれている幸運な人間でることは否定できません。しかし、堀越二郎は空への憧れや飛行機を作る情熱に関しては誰にも負けないぐらいに日々時間を投資しています。やりたいことが仕事になっているからこそかもしれませんが、僕には仕事に生きる男のロマンをこのアニメ映画に見つけることができました。

仕事というのはただ情熱を傾けているだけでなく、知恵を絞り技能を磨きながら、周囲との関係性の中で次のステップへ登るためのチャンスを待つことが大切です。僕の好きな言葉に「Planned Happenstance」というのがあります。チャンスを待つためにしておかなければならない心構えや行動様式を説いたものです。

堀越二郎はそのチャンスも次々に掴んでいく。エリートというレールだけでは語れない邁進力と求心力で自分の夢へと駆け上がっていく。そんな爽快な姿を見ているともっと自分も頑張れるのではないだろうかという錯覚に陥ってしまうほどです。仕事に忠実で仕事に真っ直ぐで仕事を成功させていく姿が勇ましく羨望の眼差しを僕は送ってしまうのです。

そういった意味ではこの「風立ちぬ」が大人のためアニメ映画だということが納得できるのではないでしょうか。大人ということは職業人である側面を大きく持つのだと思います。職業人として一人前になる頃、20代後半から30代以上の人が見て感銘を受ける作品であるようにも思います。

一方で、堀越二郎本人のモチベーションはどうかというと、また複雑な側面もあるのではないでしょうか。作りたいものは飛行機であるけれど、軍事目的での機能追求を求められるということは、物事には表裏一体、清濁併せ呑むといったこともしばしばあるといった普遍的なテーマも感じることができます。

物事を遂行するためには、清濁併せ呑むということを念頭に置きながら仕事に対する考え方を持つことができれば良いのではないでしょうか。

■「風立ちぬ」が描く恋愛像について

宮崎アニメの登場人物がキスシーンをする姿に独特の背徳感を抱くことになりました。処女性から具体性へと変化した「風立ちぬ」が持つインパクトの一つに恋愛像が挙げられます。どんな映画のキスシーンよりも素敵でエロスを感じでしまうことになってしまったのですが、その理由を紐解いていきたいと思います。

そもそも、これまでの宮崎アニメにキスシーンが登場しないのは、それを描く必要がなかったからだと思うのです。キスをするかもしれないが、描く必要のない関係性が描かれていたということでう。つまり、これからキスをするかもしれない余韻を描いていたことになります。

しかし、「風立ちぬ」はその余韻の先を描く必要があった。それは実在する人間を描くことと関係しているのではないかと思います。実在している人間を描くということは実在している人間そのものの生活の営みを描く必要があり、恋愛というのは人の営みそのものの一つであるからです。まるで駆け落ちでもするかのような突然の結婚式、甲斐甲斐しく堀越二郎のそばに寄り添い生活をする菜穂子の姿を描きながら、その中に人としての情熱が織り込まれている。その情熱の辿り着く先にキスがあり、交わるということの熱量がそこに描かれています。

「風立ちぬ」はファンタジーではないから、美しく綺麗なキスシーンとして描かれているわけではなく、人と人の営みそのものが交わることの行為の象徴としてキスシーンが描かれているのではないでしょうか。

吐血して自宅で休養中の菜穂子に堀越二郎は会いにいった。玄関から家に入るのではなく、庭を抜けて菜穂子のもとに飛び込んだ。そんなシーンが僕たちの心の真ん中を熱くししながらもどこか恥ずかしくも思う「風立ちぬ」の恋愛像は純粋でありながらもそれ故に恐ろしくもあります。

宮崎駿が描く洗練されたいつもの主人公たちが、さも僕たちと同じ世界に生きているような感じがして、僕たちと同じように生きていることを見せつけられたことへの不快感があの登場人物たちとは違う世界を生きてしまった僕たちの背徳感へと繋がったようにも思います。それと、単純に美しいものたちの恋愛という営みを見せつけられて劣等感にも似た感情を抱いたのではないでしょうか。

また、菜穂子が皆に黙って山へ帰ってしまうシーンは、そこに登場する人々の美学が詰まったとても良いシーンだと思いました。菜穂子は限りのある美しさを儚い時間の中で堀越二郎と共に過ごしていました。黒川夫人は菜穂子が黙って山へ帰ってしまうことに気がつきます。そして、追いかけようとする堀越二郎の妹を制止しました。このシーンには女性が持つ美学と感受性が沢山詰め込まれていると感じました。男にはわからない、気がつくことさえできない女性の美学があるのではないでしょうか。そんなことを考えさせられる名シーンの一つだと思います。

いずれにせよ、宮崎駿が描く恋愛はとても美しく極めてリアルであることを知りました。

そして、何といっても本編ラストに流れた荒井由美の「ひこうき雲」のメロディと歌詞が映画の世界にぴったりと合っていて感動しました。この曲が持つメロディと歌詞の世界観が本編ラストで僕たちに寄り添いながら映画そのものの一シーンとして余韻と感動を付け足してくれました。

僕は「風立ちぬ」はとても良い大人のアニメ映画だと思いました。

 映画「風立ちぬ」を観てきました(感想/レビュー) 映画「風立ちぬ」を観てきました(感想/レビュー)

風立ちぬ [DVD] 映画「風立ちぬ」を観てきました(感想/レビュー)

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