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2014-10-13

テレビ「ニッポン戦後サブカルチャー史」が素晴らしい(感想/レビュー)

テレビ「ニッポン戦後サブカルチャー史」が素晴らしい。
是非、再放送を期待したい番組です。感想でも書いてみたいと思います。

nhk subculture テレビ「ニッポン戦後サブカルチャー史」が素晴らしい(感想/レビュー)

この番組を知ったのは、第7回 「「おいしい生活」って何?~広告文化と原宿・渋谷物語~ 80年代(2)」を観たことがきっかけだったと思います。

母校の大学の授業で学生達と80年代から現代に至る文化的な変遷を議論していた流れの中、改めて自分達が生きてきた社会や文化について頭の中で再整理したいと考えていた時でした。また、僕は80年代のキラキラしたバブル期のカルチャーをテレビや雑誌で見ていた世代であり、90年代中盤から2000年代初頭まで「Quick Japan」や「STUDIO VOICE」を読んではサブカルチャーの世界に嵌っていた者としてはこの番組はとても興味深く感じました。

番組は宮沢章夫氏が戦後日本のサブカルチャー史について講義形式で伝える内容です。

講 師/宮沢章夫 みやざわ あきお
劇作家・演出家・作家。1956年12月9日生。80年代半ば、竹中直人、いとうせいこうらとともに、「ラジカル・ガジベリビンバ・システム」を開始。その作演出をすべて手掛ける。90年、作品ごとに俳優を集めて上演するスタイルの「遊園地再生事業団」の活動を開始し、『ヒネミ』(92年)で、岸田戯曲賞受賞。エッセイなど執筆も多く、小説「サーチエンジン・システムクラッシュ」(99年)では、芥川賞・三島賞候補。「時間のかかる読書ー横光利一『機械』を巡る素晴らしきぐずぐず」で2010年伊藤整賞。大学で、演劇論、サブカルチャー論を講義するなど活動は多彩。

番組のナビゲーターである、宮沢章夫氏のことはこの番組で初めて知りました。プロフィールは演劇家ということで、時代と寄り添い様々な切り口で表現者として活躍されてきた方のようです。顔立ちがはっきりしていてハスキーボイスの宮沢彰夫氏が語る講義形式のサブカルチャー史は見る者を引き込み、説得力があります。

この番組はとても反響があったようですが、たしかに独断といわれるほどの内容かもしれません。しかし、誰かが語り誰かが整理しなくてはならない。その時代に生きた者はその生きている瞬間のことはなかなか整理することができません。少し時間が経過した頃、あの時はこうだったと整理できるものだと理解しています。

最終回である、第10回 「サブカルチャーはどこから来て どこへ行くのか?ゼロ年代?現在」はサブカルチャーとは何かということをまとめた内容でした。2000年代のサブカルチャー文化はこれまでの文化形成から変わっていきます。インターネットやスマートフォンの普及により、文化の発信に場所を選ばなくなったこと、それによりサブカルチャーはポップカルチャーに飲み込まれることが多くなったこと、それでもなお、サブカルチャーはあらゆる場所、あらゆる種類の物が生まれるということ。また、それらサブカルチャーの文化の中心というのがどこにあるのかというのを考えることが大切であるということ。中心は何かということを見据えて、下位文化、逸脱したものを見つめる目を養うことが大切だと宮沢章夫氏は語ります。

宮沢章夫氏が語るカルチャーの定義

ポップカルチャー:大衆文化

サブカルチャー:下位文化、逸脱した文化

カウンターカルチャー:対抗文化

80年代マスメディアが作る文化に対抗して様々なサブカルチャーが生まれ、プロダクト中心の世の中から情報が価値を持つ時代へと移り変わっていったのだと思います。バブルが崩壊した90年代はプロダクト中心から情報中心への社会への移行期間であり、過去をお手本にしていては未来が築けない世の中になったのだと考えられます。2000年代に入り情報中心社会が確立すると同時に社会情勢が変化して重大事件が起きます。心の拠り所となるはずの過去のお手本はまったく意味を成さず、自らが何かを生み出すことを求められる世の中になったのかもしれません。

また、それを叶える為のテクノロジーの進化があり、人と人とを繋ぐコミュニケーションのあり方も急激に変化してゆきました。社会や会社やコミュニティーが主体となる世の中から個が主体となる世の中になったのだと思います。だからこそ、趣味趣向が多様化してこれまでサブカルチャーと呼ばれていたものが、あたかもポップカルチャーであるかのように伝えられることも増えたのではないでしょうか。僕自身が考えるサブカルチャーはもはやサブカルチャーではなく、それぞれが対等な多様化した文化の一つの側面でしかないと感じています。

90年代までにあったマス主体のポップカルチャーが終焉を迎えつつある中で、ポップカルチャーとサブカルチャーの境界線は限りなく無くなり、昔からあるようなオタク的な側面を持つアンダーグラウンドな世界とは区別されていくのかなと思います。インターネット一つを取ってみても90年代はアンダーグラウンドな世界でしたし、サブカルチャーの一つでした。それが今やインターネットという社会基盤はインフラとして認識されその上であらゆる経済活動や文化活動か行われています。

これはイノベーションとの関係性があるものと考えますが、サブカルチャーそのものがイノベーションを生む種であることは間違いなさそうです。どのサブカルチャーがポップカルチャーに昇華していくかはわかりませんが、人々は刺激的で新しくてその時代にあったメッセージを欲しているということかもしれません。

そして、どの時代にもそういったものを欲しがる若者は存在し、生み出す側と消費する側が一緒になって新しい時代を作ってきたのかもしれません。現代はその生み出す側と消費する側との境界もなくなってしまったという理解をすれば、こんなにもワクワクする時代が始まっているのだと感動しますね。

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